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高原桐の詩による2つの歌曲

《ほたる草》《鬼女の舞》

 

声の魅力。

クラシック音楽に興味を持ち始めてからすぐ、オペラに魅せられ、そして中学生の頃、祖母の相次ぐ死の時、僧侶の声に魅了されていた。大学生の頃、声明を題材に曲を書いたが、ある作曲家に何も知らない「外国人」が書いているようだと言われた。

私は「日本人」になるために雅楽を演奏するようになった。雅楽は器楽音楽が中心だが、歌の重要性はとても高い。

私の中には全く相反するふたつの人格が存在する。

雅楽を演奏する時は伝統の中に身を置き、軽々しい前衛など許さない。

作曲家として生きている時は、伝統の全てを破壊したい衝動に駆られる。

何度もお誘いを断り続けていたが、ついにこの演奏会へ参加する事となった。

『鬼女の舞』というとても日本的な詩を推薦してくれたが、全ての日本的な要素を排除し、この詩に立ち向かう。もしこの曲から「日本的」なモノが垣間見れたら私の人生間違っていなかったと確信する。

そしてもう1作、直感的に選んだのが『ほたる草』。

私は日本人でも何人でもない真鍋尚之の音楽を創る。

 

初演;
日本歌曲協会 第十四回邦楽器とともに
新しい日本歌曲の煌めき ~新作歌曲をそろえて~
日時2019年10月29日(火)
会場東京文化会館 小ホール
開場18:00
開演18:30