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2009/07/29

今日で共立女子大学での半期の講義が終わった。

私にとっては
とても苦しい
数ヶ月であった。

「芸術とは何か?」
「プロとは?」

そんな問いかけを
学生に投げかけながら

私は「講義」をする者としての
「プロ」を音楽家であることを理由に
最初から放棄しているのである。

私がプロとして宣言したのは
演奏することと
作曲することと
そして、演奏を教えることである。

講義として
「言葉」で教えることは
私の専門外であると
常日頃言い続けている。

しかし、何故それでも
教壇に立ち続けるのであろうか?

それは

・・・

クビにならないからである

・・・

いやいや

女子大に入り込むのが嬉しくてたまらないからである

・・・・

いやいやいや

大学の先生だというと
周りがハッと一目置くからである

・・・・・

いやいやいやいや

なんだかんだ言っても
お金が欲しいからでしょう~

・・・・・・・–;

いやいや

お金にもあんまりなりませんが。。。

まぁ、そんな冗談はさておき

他にもっといい人がいれば
私を必要としなければ
いつでも代わってもらっても
いいんです。

ただ、私がやっている以上
私にしか出来ないことを
したいなぁと思っています。

ここ数年で私自身が
はっきりと変わったことがあります。

それは
「自信」でしょうか??

「私にしか出来ない」
と思えるようになったことです。

当然、話をし講義をすることの
「プロ」を放棄している訳ですから
それはある意味、
学生をある方向に導く責任をも放棄していると
同じ事になるのだと思っています。

私は授業の最後に簡単なレポートを出してもらいます。

今日、その提出日でした。

私の役割は
「教える」ことではなく
「問題提起する」事だと思っています。

「芸術とは何か?」

学生に投げかける問いに対して
私は、なんの答えも持っていません。

むしろ、それを知りたいが為に
問いかけているだけなのです。

答えがないモノに対して
考えることの尊さを
知る学生もいれば
それぞれ悩む中で
自分の考えの方向性を
見つけていく学生もいる。

そして、何よりも
私自身がその中で
いろいろなことを教わっているのである。

私のレポートを書く上での条件は
★手書き
★自分の考えを自分の書く
★消しゴムを使わない
★自分の成績は自分でつける

である。

私ごときが
他人を評価することは出来ないし
自分のことは自分が一番よく知っているはずだ
と思うので点数を書いて出してもらっています。

はてさて、
今日、私は
学生に宣言した
私の宿題も
提出しました。

「芸術とは何か」
を学生に書かせたレポートをまとめるという宿題である。

私のレポートはワープロ打ちであり
学生の意見をある角度から分析し
並び替え一つの方向性を持たせたモノである。

私は、この意見から、
「芸術とは何か?」という
ある一面を教えてもらった。

そこには
私の意見もまったく入っていない

学生に求めておきながら
自分は何もしない・・・

そんな矛盾は
なんの矛盾でもないのは
私だけが知っていて・・・

誰かもそのことに気がつくかも知れない。

私が伝えたいのは
そんな事なのかも・・・。

さてさて
学生に自己採点を求めたならば
私も自分の点数を付ける番である。

この宿題と今年のこの講義に対する私の
自己評価は68点である。
(言うの忘れた)

まぁ、私は私で
120パーセントの事はやったつもりである。

それにしても
授業中にはまったく反応のなかった
この学生たちの書く文章は
なんと驚きの数々であろうか?

本来なら85点くらい付けたい自分の点数も
この才能を引き出せなかった
という点ではやはり68点である。

反応がなくやる気がなく見えたのも
・・・一部を除いて・・・
私がその才能を活かすことが出来なかった
のだとちょっとふがいなさも残る。

でも
「私は講義のプロじゃないんだから」
とそういう時は声を大にして・・・。。。

毎年変わる学生に対して
去年までの積み重ねはない
新たに始まるモノだ
と思っていたが
確実に積み上がっているモノがここにある。

自分自身が成長していく以上
必ず
それを評価する学生も!?
変わっていっているのである。

「大学講師」としてのプロに
なるつもりは毛頭ないが
最後のこの評価というのは
私にとって財産となるものである。

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